BURTON FLYING V 定番人気モデルの形状と評価・解説





2015.10.21

BURTON Flying V

 

Flying Vとは、スノーボードのトップブランドBURTON社が製造しているボードの形状(BEND)の1つです。

 

ボードの形状と言えばCamber, Flat, Rockerがオーソドックスで一般的に知られていますが、それらの形状の他にBURTONでは『Flying V』という形状のボードを製造しています。

 

最近ではCamber, Flat, Rocker等の機能と形状を少しずつ組み合わせたHybrid型の形状が多数ありますが、Flying Vもそのハイブリッド型の1つです。

 

そしてFlying Vの構造的な特徴は以下の2つです。

 

ボードの中央部がロッカー構造(V Rocker)

両脚元にそれぞれキャンバー構造

 

キャンバーとロッカーを組み合わせたハイブリッド型ですね。

BURTON社のテクノロジーによってキャンバーとロッカーの良い部分を抽出して1枚のボードに組み込んだ、良いとこ取りの形状がこのFlying Vです。

 

BURTON 2016 - 2017 最新モデル




Flying VのFlex

 

 

Flying Vとは数あるボード形状の中の1つの型です。

 

例えば、BURTONにはCustomというプロダクト(スノーボード板)があります。このCustomはCamber型の形状をとっています。

 

このCamber型のCustomボードをFlying V型の形状にした製品が「Custom Flying V」です。

他にも、ProcessやCustom Twin等、Camber型とFlying V型の両方の形状でリリースされているプロダクトがあります。

 

ここで先に、Flying Vのフレックス(柔らかいのか硬いのか)について書いておきます。

 

このフレックス性は、実はボードの形状によって変わるものではありません。

それぞれのプロダクトのフレックス性に依存しています。

 

Camber形状かFlying V形状かで柔らかい・硬いが決まるのではなくて、先程のCustomなのかProcessなのかといったプロダクト毎でフレックス性は決められています。

 

よって、CustomとCustom Flying V、またProcessとProcess Flying Vは、形状が違いますが同じプロダクトなので、フレックス性は同じになります。

 

今シーズン(2016 - 2017シーズン)のメンズモデルでいうと、プロダクト別のFlex性は以下です。

 

・Custom Flying V (3:普通)
・Custom X Flying V (4:やや硬め)
・Custom Twin Flying V (4:やや硬め)
・Process Flying V (2:やや柔らかい)
・Blunt Flying V (2:やや柔らかい)

 

そして、レディースのFlying Vモデルがこちら。

 

・Deja Vu Flying V (2:やや柔らかい)
・Feelgood Flying V (3:普通)

 

このフレックス性同様、Moldと言ってボードの両端の形状がTwinなのかDirectional Twinなのかといったことも、プロダクト毎に依存しています。

 

Flying Vの形状と特性

 

 

次に、Flying Vの形状についてです。

本編の最初に記載した通り、ボードの中央部がV-Rocker構造になっていて、両足元にCamberゾーンが施されています。

 

Flying Vは「何でもできる板」と言われたりしています。

フリーラン・パーク・グラトリ、どんなシーンでもその能力を発揮出来ます。

 

CamberとRockerの良いとこ取りなので、確かに殆どのどんなシーンにおいても向いていると言えます。

 

Flying VにはFlat属性こそありませんが、それぞれの形状の機能を掛け合わせたハイブリッド形状のモデルというのは、何でも出来る型を取ることが多いです。

そして、Flying Vも例外ではなく、何でも出来る型です。

 

Camberの特性をいくつか挙げておくと。

 

Camberは、ターンの初動からエッジが入っていきやすい特徴があります。Rockerは反った形をしているので、初動ではなかなかエッジが入っていかないのですが、Camberはその逆でエッジが入っていきます。

 

エッジが入りやすいのでカービングターンもやりやすく、またCamberのカーブ形状を利用することで反発力も生みやすいです。

オーリー等の高さが出しやすいですね。

 

そのCamber構造が両足元に施されています。

 

また中央がV Rocker形状になっていることから、パウダー上でのボードの浮力は高く、そしてその中央のRocker構造によってトリックで板をまわすのにも向いています。

 

どちらかと言えば、Flying VはRockerをベースにCamberの構造・性能を加えた感じの形状です。その浮力の高さは本当に実感出来ます。

 

私の周りで、ようやくターンを無難にこなせるようになったボード歴2年目の女性がいます。

今シーズン(15 - 16シーズン)からDeja Vu Flying Vを使い始めたのですが、見様見真似でオーリー(っぽく)簡単に板の操作をし始めています。

 

Deja Vuは、Flying Vの中でも柔らかめのボードということもあって、女性の脚力でも、その構造とフレックス性で操作性は抜群に良いようです。

 

ま、まだまだオーリーっぽくなわけですが...

 

因みに、その女性がボードを揃えた時の買い物記事はこちらです。いくらで揃えたのか参考になれば。

 

BURTON Deja Vu Flying Vを買ってきた時の費用

 

また、15 - 16シーズンの年は、BURTON Customモデルの20周年ということで、記念ボードが発売されました。

その記念モデルが、Custom Mystery Flying Vです。

 

この記念モデルもFlying Vの形状を搭載していて、BURTONといえばFlying Vと言えるほど、BURTONブランドを代表している形状になっています。

 

2015 - 2016 Burton Custom Mystery Flying Vの形状・特性

 

強いてこの形状の難点を言えば、エッジを入れない高速滑走をすると、ノーズ側が若干バタついてボードに不安定さを感じるかもしれません。

私も感じるので、たぶん感じると思います。

 

形状を考えると仕方ないのかもしれないですが、ただ、エッジを入れずにかなりの高速滑走をしない限りはあまり気にする必要はないレベルです。



V-Rocker

 

Flying Vの中央部の構造にあたる「V-Rocker」。

このV-Rocker構造、そもそも2010年代前半までBURTONはV-Rockerという形状のボードを販売していました。

 

この形状は現モデルでの販売は既にないですが、その形状の一部をFlying Vに搭載しています。

 

どんな形状かと言うと、ボードの中央部(両足の間)がFlying V同様のV Rocker形状、つまり足元からRocker形状。

そして両足のバインディングからノーズ・テールにかけての部分に再度Rocker形状を施したものです。

 

エッジが引っ掛からないよう設計された形状で、主にパークやパウダーラン、グラトリをターゲットにしています。

通常の滑りだと、逆にエッジが抜けてしまう感じがするかもしれません。

(それがV Rockerの狙いでもあるのですが)

 

このV-Rockerの両足元にCamberを施した形状がFlying Vだと思っています。

 

先程のエッジが抜けてしまうのを、足元にCamber部を施すことでクリアした形がFlying V。

V Rockerは、Flying Vの前身に当たるモデルだと言えそうです。

 

実際、当時V Rockerモデルとして販売されていたボードには、CustomやDeja Vu、そしてBlunt等、今ではFlying V形状でリリースされているモデルが、以前はV Rocker形状で販売されていました。

 

また、Clashのように、当時はV Rocker形状だったものでも、今ではFlat Rocekrとして製造されているものもあるので、プロダクトによって枝分かれはあります。

 

因みに、当時はS-Rockerという形状もありました。

現モデルで言うと、Salomonのsuper8が搭載しているBackSeat Camberに似た形状です。

 

SALOMON Super8のBackSeat Camber 形状・解説

 

このモデルは少々独特で、ノーズ側とテール側で非対称な形状をしています。

 

ノーズ側からバインディングまでがRocker構造、バインディングからテールまでがCamber構造という形状をとっていました。

横から見ると、まさにS字型です。

 

今ではS Rockerもありません。

 

何でも出来るという意味

 

話を「Flying Vは何でも出来ると言われる形状をしている」というところに戻します。

 

では、それぞれの形状に優れた適性があるにも関わらず、何でも出来るというのはどういうことでしょう?

 

それは、残念ながら、すべての指標でMax1番ということではありません。

 

例えば、グラトリを思いっきり極めたいという方は、Flying Vよりも素直にRocker形状のものを選択するほうが良いでしょうし、スピードライディングをしたいのであればアルペンボードのほうが速度重視の作りになっています。カービングメインならノーマルCamberもアリです。

 

何でも出来るというのは、どれもこれも中途半端とも解釈できてしまいます。

 

ネット上では一部で『究極の中途半端ボード』なんて言われてしまったりもしています。

 

総評

 

逆手にとれば、どの指標をとってもMaxからは少し下がる中途半端と言えてしまうFlying V。

 

しかし結論としては、全ての指標で平均80点以上のオールラウンドモデルです。

 

中途半端も究極に極めてしまえば、全指標で平均点80点超えの超優秀な形状のボードと位置づけ出来ます。

どの指標をとっても、5段階中4以上というわけです。

 

何でも出来るというのも決して過言ではないと思います。というのも、不向きなケースがないんです。

そして、そうであれば、初心者が初めて購入するおすすめの板としても候補にあげられます。

 

実際に私がそうで、スキー経験しかなかった私がスノーボードを始めるにあたって最初に購入したボードがCustom Flying Vです。

 

BURTONには、estやThe Channelといった標準とは異なる、BURTON独自仕様のバインディングシステムもあります。

Flying V型も同様にBURTON独自の型と呼称で、そこには独自なる魅力を感じざるを得ないですね。

 

そこそこスノーボードを滑る人ならば、BURTONのFlying Vを知らない人はいないと思います。

BURTONでFlying V型のモデルといえば、Custom、Custom Mystery、Feelgood、Deja Vu、Custom Twin、Processと他にも多数あり、愛用者も多いです。

 

スノーボード界のトップブランドBURTON、その代名詞的なFlying V形状は、1本の板で何でもしたいという方、BURTON好きな方はもちろん、プロダクトにそこまで詳しくなくてよくわからない方にもおすすめ出来る万能型モデルです。

 

2016 - 2017 BURTON Flying V モデル一覧




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